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― 咳治療の効果判定について ―

咳の診療に関するガイドラインがあるといっても、医療機関の先生方にとってやはり咳の診療は大変難しいのは今も変わりません。

 

診断が間違っているはずはない。そう思いこむと、「全然よくなりません」と なかなか言い出せない患者様の訴えを傾聴できなくなるものです。うまく治療できていないということを認識できているうちはまだしも、のどに何かくっついてるような感じがするとか、イガイガが治らないとかの訴えが続くとそれがクレームに聞こえてきたりするものです。耳鼻科へいってみては。精神科へいったほうがいいと言われた患者様が、医療機関を転々としています。

 

咳に関わる日常生活の質を評価するためのツールとして”レスター咳質問票(Leicester cough questionnaire;LCQ)” が国際的に使用されています。日本語バージョン(Japanese version of Leicester cough questionnaire; J-LCQ)【新実・小川版】をうまく利用すると治療効果の判定にも用いることができます。​

― 難治性のせきや喘息への挑戦 ―

近年、原因のわからない難治性咳の患者様(UCC)に対する、ガバペンチンやプレガバリンなどの中枢作動薬の有効性が報告されています。また、難治性の喘息患者様には、非常に高価な分子生物学的製剤が使用可能になっていますし、気管支平滑筋を焼いてしまうという最先端治療が紹介されています。

しかし、たんなどの気道検体から、キノコの菌糸がこれでもかと言わんばかりに検出されてくるような難治性の咳や喘息の患者様に、とても、そのような難しい薬を処方しようという気にはなれないというのが正直なところです。

これは、決してそれらの最先端治療を否定するものではありません。難治性アレルギー性気道疾患患者様の診療においては、一度は担子菌を調べておいた方がよい。除菌がうまくいけば、そのようなすばらしい薬や、夢のような治療法が本来のポテンシャルを発揮できるのではないかというエールであります。

― ステロイド薬・抗真菌薬の幻想 ―

難治性咳嗽にはステロイド薬。本当でしょうか? ついでに抗真菌薬? 

せき診療もそこまでくると無法地帯。大切な人にそんな薬を処方。するのですか?

スギ花粉症を予防するために、冬に室内でマスクをつけるでしょうか? 

スギ花粉の生態系を知ることで、春先に外出する時にマスクつけることを誰もが学びます。

 

なかなか治らない咳では、カビが関係しているかもしれないから抗真菌薬?

No! もういちど NO!
 

真菌(カビ)の生態系を認識することで、疾患進展の予防、同居家族への健康配慮、清浄環境の提供が展開できるのです。根拠なき抗真菌薬の投与は、原因真菌の同定を放棄することであり慎まなくてはなりません。

 

難治性アレルギー性気道疾患の診療の一環として、気道検体から的確に担子菌などの環境真菌を分離培養、同定ができる専門病院への紹介も、一つの選択肢として認識していただくことで新しい視野がひろがるかもしれません。。

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