Leicester Cough Questionnaire (LCQ)
―日本語版レスター咳質問票(J-LCQ)―
咳嗽に関わるQOLは日本語版(Japanese version of Leicester cough questionnaire;J-LCQ 新実・小川版) を用いることで評価が可能になりました。
慢性咳嗽の診療および疾患管理のゴールは、咳に関わるQOLが完全にコントロールされることです。たとえ咳嗽の診断が正しくてもLCQスコアが改善されない限り、治療が成功したとはいえません。
一方、処方した薬剤が臨床的に意義のある改善をもたらしたかどうかを評価するためには、LCQスコアの臨床的最小重要差minimal important difference(MID)を用いれば判定が容易です。2か月くらいの加療によってもMIDをクリアできなければ、診断のやりなおしもしくは専門機関への紹介が推奨されます。
このようにJ-LCQは、慢性咳嗽の日常診療においても臨床研究においても有用な、国際的に標準化されたツールです。著作権に留意した使用が求められています。
Newcastle laryngeal hypersensitivity questionnaire (NLHQ)
―日本語版ニューキャスル喉頭過敏質問票(J-NLHQ)―
慢性咳嗽のtotal controlは、咳嗽症状と随伴する喉頭異常感(cough―related laryngeal sensations: c-LS)の双方が十分に改善してはじめて達成されます。J-NLHQの日本語versionの作成にあたっては、我々の日本語訳を業者に委託してreverse translationしたものを、原著者PG. Gibsonに査読いただき品質保証を受けるともに、使用許可を得るというprocessをとりました。NLHQのMIDは1.7です。喉頭異常感を手掛かりに基礎にある咳嗽疾患治療を修正しNLHQのMID1.7をクリアすることをめざしていけば、結果的にLCQの改善がついてくるものと信じます。J-NLHQは慢性咳嗽に特化したものではありませんが、J-LCQと併用することにより、慢性咳嗽のtotal managementに役立つと考えられます。使用にあたっては質問表の変更は許されませんが、小川・新実版として言及いただくことで、自由に利用できるものとして完成しました。